育苗箱ベンチレータ/給気ファン増強

前回までの計算で、5V30mmファンで十分換気能力があることが分かりました。ただ、実際問題として、昨年の実績からは日中の気温が少しでも上がってくると、途端に能力不足となり、ファンが日中回りっぱなしになった上に温度が下がらない、という状況が生まれます。温度の問題もありますが、複数の小さいファンが長時間フル回転していると、小さいとは言え耳障りな音がします。そこで、大きめのファンに交換し、換気能力を引き上げるとともに、ファンの数を減らして騒音低減を図ります。

DC5V 60mmファン/ANVISION

AV-YDH6015B05-1

今の育苗箱ベンチレータの基板では、マイコンへの給電もファンの動力も同じ5Vとしています。これは、XIAO ESP32C3の5Vピンが、出力/入力どちらも対応しており、DC5Vを基板上で分岐させてやれば、電源ラインを1本で済ますことが出来る為です。

なので、今回のファンの増強でもDC5Vで探すことにしました。手頃そうなので見つけたのが、ANVISIONのAV-YDH6015B05-1です。

これ、よく見ると型番の中にYDH6015とあります。YCCFANのOEM品ですね。元々付けている30mm5VファンはYCCFANのYDH3010C05です。FAN業界はよく分かりませんが、寡占化が進んでいるのかな。同じメーカーなら安心なのは間違いないです。

これまでのファンと比較すると下のような感じ。

項目YDH3010C05AV-YDH6015B05-1
サイズ30 x 30 x 10 mm60 x 60 x 15 mm
定格電流0.36A0.27 A
定格電力1.8W1.35 W
定格回転数13000 rpm4000 rpm
最大風量(静圧0mmAq)4.07 cfm17.6 cfm
最大静圧(風量0cfm)5.51 mmAq3.14 mmAq
騒音レベル37.3 dBA30.7 dBA

ん?
改めてデータシートをちゃんと見ると、風量は最大風量であって、静圧0mmAqの時の値なんですね。どちらもちゃんと風量静圧特性曲線が引いてあるので、静圧さえ測れば風量に換算できますね。こりゃいかん、熱計算は修正が必要です。水柱マノメータを作って実測してみましょう。記事は次の回かな。

実際の風量は次回までに測るとして、最大風量で比較すれば、これまでの30mmファンより4倍程度となります。給気側に1個だけファンを付けることにします。

実装

AV-YDH6015B05-1稼働状況

育苗箱透明プラケースに穴を開けて、これまで同様透明テープで固定しました。実際に動かしてみると、騒音は凄く小さく感じますね。これまでは30mmファンが2基、高回転で動いていたので、高めのノイズが耳につきましたが、60mmファン1基にすることで、音程も低くなって音圧も下がったように思います。

これまでの30mmファンが稼働した時の音は下のような感じ。動画の終盤、29-31秒あたりが定常状態です。撮影条件が全く同じではないですが、なんとなく音が小さくなったことが分かりますでしょうか。

30mmファン2基稼働

60mmファンで晴天日(2025年1月25日)に稼働させたときの温度トレンドは下のような感じ。

真ん中の青い線が育苗箱内気温、下の灰色の線がポット内土壌温度、上の黄色い線が基板box内の温度(RTC/DS3031)です。育苗箱内気温が27℃を超えるとファンが起動し、25℃を下回るとファンが停止する為、気温のトレンドは25~27℃の間でギザギザになります。

ポット内土壌温度は緩やかに気温に追随しますが、20-22℃くらいで安定します。一方、基板box内温度は、結構上昇してしまいますね。この日は最高で46℃です。60mmファンに増強、風量が増えたことで、基板box内の温度も変化するようになりました。これまでの30mmファンでは、育苗箱内の温度は下がりますが、基板box内はあまり下がらず、50℃超まで行っていました。

ところで、この基板box内温度は、DS3031(RTC)の温度補正用の温度計データを読み出してきている為、1℃単位です。なのでここだけカクカクしたトレンドになっています。

温湿度計スタンド

前の記事を覚えておられる方がいるかどうかわかりませんが、もともと温湿度計DHT22は、基板boxの蓋に貼り付けていました。

ええ、そうです、基板boxが日中50℃前後まで温度が高くなる為、日によっては温湿度計が影響を受けて、育苗箱内気温が30~35℃を示すことがありました。別途アルコール温度計を差し込んでも24℃くらいで、どうしようかと思っていましたが、原因はこれでした。

そこで、温湿度計DHT22を基板boxから分離して、基板boxの温度影響を排除する為、木っ端を使って温湿度計スタンドを作りました。

温湿度計と基板box分離後は、基板boxの温度影響を受けることなく、快調です。

静圧実測

メーカーサイトにYDH6015B05そのもののデータシートが無かった為アマゾンの商品紹介ページから風量静圧特性曲線を参照します。保存した画像を直接貼るとチョメチョメされてしまいそうなので、リンクを貼っておきます。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CD26L3HJ/?th=1&m=A6NNV6VK9GJ7V

これを見ると、静圧0 mmAqで風量17.6 cfm、0.5 mmAqで15.8 cfm、1.0 mmAqで13.6 cfmくらいですね。水柱マノメータを作って、実測し、風量換算してみます。

・水柱マノメータ

装置間の差圧を見るシンプルな装置です。駆動部分が無く、電源も不要なので、差圧がそこまで大きくない時はとても便利です。差圧の相手が大気のものをよく見かけます。

100均の木っ端に物差しを垂直に貼り、チューブを物差しに沿わせてU字に固定します。今回は使用後の解体を考えて、釘で押さえつけるだけにしておきました。

簡易水柱マノメータ

右側のチューブは育苗箱内へ繋ぎ、箱内の静圧を取ります。左側のチューブは大気に開放で、チューブ内に気泡が無いように水を入れます。育苗箱内の圧力が大気より高ければ、チューブ内に入れてある水が押されて、右側の水面が下がり、左側の水面が上がります。この水面の差(mm)が静圧になります。中身は水なので単位はmmAqです。

今回は最大静圧が3.14 mmAqであることが、風量静圧特性曲線から分かっているので、差圧を取る範囲は10mmもあれば十分ですが、差圧が大きい時は、チューブを長くして水も多くしないと、大気側にチューブ内の水が吐き出されてしまいます。また、装置内が負圧なら、装置内に水が吸われてしまいます。差圧が大きい時にサイズが大きくなるのが水柱マノメータの難点ですね。

使ったチューブが細すぎたのか、チューブとの抵抗が大きくて液が動かなかったので、ごく微量の洗剤を入れています。

60mmファンに5V電源をつないで実測してみると、水柱マノメータの指示は下のような感じ。

おお、どうでしょう。
表面張力で液面が湾曲するので、この場合は湾曲した一番底部の高さを読みます。メモリは1mm単位なので、その1/10、0.1mmまで読みます。

右側のメモリの11の数字があるところが、左側のメモリの7.5cmに相当します。装置側である右側は11のメモリから-0.1mm、大気側である左側は7.5cmのメモリから+0.3mmくらいかな。差圧は0.4mmAqですね。ちょっとメモリの読みに怪しいところがありますが、差圧が付いている方が安全側なので、良しとしましょう。

風量静圧特性曲線から読み取ると、静圧が0.4 mmAqなら、風量は16 cfmですね。
この感じだと、30mmファンで確認しても大差ないかな。

今回はこの後Deep Sleepからの復帰時間改良を書こうと思っていましたが、ちょっと長くなったのでここまでにしましょう。次回は復帰時間改良かな。間に合っていれば、30mmファンでの静圧測定と熱計算見直しですね。

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しろすけ技術研究所
主任研究員

こんにちは。市民農園で野菜作りをしているしろすけです。極小規模の栽培管理システム開発をいつかやってみたいと思っていました。2024年から育苗ケース給排気温調や、水耕栽培管理システムの試作を電子工作で始めました。想像以上に検討することがあったので、記録を残すことにします。バイク(SR400)と耕運機(FV200)の整備記録もついでに記録に残しておきます。


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