水中ポンプDH-390揚程曲線(QH曲線)

一応ネット上で水中ポンプDH-390の性能曲線が転がっていないか探してはみました。ただ、まあ、やっぱり無いですよね。仕方ないので揚程曲線だけ実測して作ってみることにしました。流速実測は10秒間で流れた水の重量の手作業での測定なので、かなり誤差があると思いますが、手作りの冷水塔に使用するだけなので良しとしましょう。

性能情報

ネット上から得られたDH-390の性能情報は以下の通り。

電圧消費電力揚程吐出量
DC 5V5 WMax : 0.8 – 1mMax : 350 L/hr

揚程は1mが限界なんですね。吐出量が最大350 L/hなので、そのままの能力が出ているとすれば、ちょっと流れすぎと思います。

揚程曲線実測

・測定方法

水中ポンプDH-390をボールの底部に固定。底部から40mmまで水を入れた。DH-390吐出に内径9mmチューブ700mmを接続し、チューブ先端を設定の各揚程高さに固定して水を吐出させた。チューブ先端の向きによって流量が変化する為、設定高さで真横に吐出する形で固定した。1Lプラスチック容器で10秒間水を受け、風袋を引いた電子天秤で重量を測定した。PCに接続した冷水塔RaySui-kun基板とDH-390を接続し、PWM設定と揚程を変えて流量を変化させた。DH-390の電源は基板上のXIAO ESP32C3の5V出力からとった。測定はn=5とし、平均値を測定値とした。

底部から4cmまでボールに水を入れ、水は循環(重量測定した水も戻す)
・出力HIGH固定で揚程を変化

実測値は下の表の通り。測定は一つの揚程で5回測定し、平均を取っています。吐出チューブ先端高さを70cmまで引き上げると、水は67cmの高さで停止しした為、67cmでの流量を0としました。5V、HIGH(PWM100%)での吐出圧が670mmH2O、パスカルに換算して6.57kPaということもついでに分かりました。揚程が低いと、一瞬の遅れや振れで差が大きくなるので、一番低い20cmではばらつきが大きく標準偏差も大きめですが、それ以上は比較的安定しているかな。

これを平均値(g/10s)を流量(kg/hr)へ変換し、エクセルのソルバーを用いて近似曲線を作成しました。わざわざソルバーにしたのは、単にやってみたかっただけで特に意味はありません。結果は以下の通り。

揚程と流量をプロットし、揚程曲線(QH曲線)を作成しました。案外二次曲線に乗るので、手作業の測定でしたがそれなりにちゃんと測定できたのかな。

相関式は揚程(cm)をy、流速(kg/hr)をxとして、以下の通り。

$$ y \ = -0.00113 \times x^{2} \ -0.22748 \times x \ + \ 66.692 $$

ただし、x \geqq 0

せっかく相関式を作ったので、揚程0cmの時の流速(kg/hr)を計算してみます。水中ポンプなので、サクションが本体に組み込まれていて、揚程0cmが測定し難かったのでちょうどいいです。揚程0cmなので、上の相関式でy = 0とします。

$$ 0 \ = -0.00113 \times x^{2} \ -0.22748 \times x \ + \ 66.692 $$

これを2次方程式の解の公式を用いて解きます。

$$ x \ = \ \cfrac{-b \ \pm \ \sqrt{b^2 \ – \ 4ac}}{2a} $$

なつかしいですね。これに相関式の係数a、b、cを入れていくと、解が2個得られます。

$$ x_1 \ = \ -134.86 \ , \quad x_2 \ = \ 162.92$$

xは0を含む正の値(x≧0)なので、x2が適当な解ですね。揚程0cm、つまり最大の流量は162.92kg/hrということですね。

スペック上最大吐出量は350 L/hr(水なので1L = 1kg、L/hr = kg/hr)のはずですが、半分くらいしか出てませんね。XIAO ESP32C3の5Vから電源を取っていて、電流量に制限がある為かな。まあこの形で冷水塔を作っていくので、データもこのまま取っていきます。

測定の様子。タイマーで10秒間量りながら容器に受け、重量測定。5回/1条件。
・揚程50cm固定でPWMのDuty値を変化

キュウリ水耕栽培の水槽を想定した時、水槽底部に水中ポンプを設置したとすると、冷水塔の高さが台座合わせて20cmなので、全揚程は40~50cm程度になると想定しています。そこで、揚程を50cmに固定してDuty値を変化させてみました。実測値は以下の通り。

PWM値を47(Duty率18.4%)とすると、50cmの高さまで水が上がって来なかった為、流量を0 g/10sとしています。平均値をkg/hrに変換すると下の通り。

前回PWMを試した時と同様に、PWMで流量が調節できる範囲は非常に狭く、Duty率で18.8%から20.7%の間だけですね。それ以外はほぼ100%か0%かどちらかです。Duty率18.8~20.7%の間のプロットを拡大すると、下のような感じ。

この区間ならPWMを有効に使えそうですね。

まとめ

水中ポンプDH-390の揚程曲線(QH曲線)を作成した。揚程曲線から計算される最大流量はスペック上の最大吐出量の半分程度であった。PWMで調整できる流量範囲は揚程50cmとした時30~50kg/hr。PWMでの調整より揚程の影響が大きい為、実用上の流量調整は揚程調整で実施する方が効果的と考える。

いや~、揚程で流量調整は、それはそれで安定させるのに技術が要りそうです。次は流量を変えていった時の冷却効率かな。これで最適な運転条件が作れそうです。

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しろすけ技術研究所
主任研究員

こんにちは。市民農園で野菜作りをしているしろすけです。極小規模の栽培管理システム開発をいつかやってみたいと思っていました。2024年から育苗ケース給排気温調や、水耕栽培管理システムの試作を電子工作で始めました。想像以上に検討することがあったので、記録を残すことにします。バイク(SR400)と耕運機(FV200)の整備記録もついでに記録に残しておきます。


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